障がい児のための予防歯科事業「すまいる for kids」の目的

令和2·3年度 大阪市市民活動推進助成事業

1

予防

ムシ歯になる前に

障がいを持つ子供たちと保護者は、どの歯科医院へ行ってよいのかわからない。近くの歯科医院へ行っても、治療できないことも多い。

ムシ歯予防教室
2

体制

一次医療機関である歯科医院

一次医療機関である歯科医院側は、障がいを持つ子供への接し方がわからない。積極的に受け入れる歯科医院は少ない。

研修・セミナー事業
3

地域

適切なケアを受ける機会

障がい児は身近な地域で予防目的の歯科受診行動をとりにくい。お口の健康教育や適切なケアを受ける機会が少ない。

個別歯科相談事業
背景

障がい者の予防歯科が 普及していない

すまいる for Kidsの運営法人である特定非営利活動法人(NPO法人)関西ウェルビーイングは、2015年から大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部と交流をもち、「障がい者の予防歯科が普及していない」現状を知りました。障がいをもつ子供が、ムシ歯に罹患すると、歯科治療は非常に困難です。治療に抵抗を示すからです。抑制具で身体を固定したり、全身麻酔下の歯科治療が求められます。障がいをもつ子供と保護者にとって、ムシ歯治療は心身ともに大きな負荷なのです。ムシ歯は予防できる疾患です。適切なセルフケアと歯科医院での定期的なケア(フッ化物塗布等)を受けられていると、近年、ムシ歯は減少しています。ところが、障がいを持つ子供は、この予防方法をなかなか受けられていません。

予防歯科

障がい者のムシ歯治療は専門的施設を必要とする一方で、予防歯科はほぼ不要。

受け皿の歯科医院

障がいをもつ子供を診る開業歯科医は全体の一部であるため、受け皿の開業歯科医が増えれば、子供たちの健康状態は向上する。

障がいをもつ子供の受診

地域の開業歯科医を受診できれば、お口の健康が維持、増進できる。そうなれば保護者の負担を減らせられる。

目的

障がい児のセルフケアと歯科医療者の新しい役割

障がい児と歯科医療者双方に働きかける

訪問歯科衛生士

歯科衛生士が放課後等デイサービスと児童発達支援へ定期訪問して、「健康教室」「個別歯科相談」を開催します。

受診トレーニング

障がいをもつ子供が、歯科診療を受けるには、人(歯科医療者)、もの(歯ブラシ、デンタルミラーなどの歯科診療器具)、環境(歯科診療台等の歯科医院特有の構造)に慣れてもらわないとなりません。日頃、慣れ親しんでいる通所施設にて、「人、もの」にまず慣れる訓練を実施します。

開業歯科医対象の研修

開業歯科医を対象に研修会を開催します。内容は障害者歯科・臨床予防歯科の知識、技術の習得です。障害者歯科の講師は、大阪大学歯学部附属病院障害者歯科治療部の歯科医に依頼します。臨床予防歯科の講師は、当法人の会員歯科医師が担当します。

歯科衛生士対象の研修・セミナー

歯科衛生士の中には、20代後半にさしかかって以降、結婚・出産・育児が原因で退職する人もいます。育児が落ち着いてくると、復職の意欲がわき、パートタイム勤務を希望するケースが多々あります。このような復職希望の歯科衛生士を対象とした「訪問歯科セミナー」を開催します。この事業は、大阪府歯科衛生士会にも協力を得る予定です。